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松山家庭裁判所 昭和46年(少ハ)2号 決定

少年 R・I(昭三一・一二・九生)

主文

少年について昭和四五年九月一六日になされた初等少年院送致の決定は、これを取消す。

少年に対する昭和四五年少第一一九三号、一二七六号保護事件につき昭和四五年九月九日になされた審判開始の決定を取消しこの事件については審判を開始しない。

理由

少年については、先に昭和四五年九月一六日当庁において、「自称G・J」「生年月日昭和三〇年一二月(日不詳)」として、く犯・窃盗保護事件により初等少年院送致の決定がなされたものである。

しかるに、松山少年院長安井五郎作成の「収容少年の保護処分取消に関する通告について」と題する書面(添付の別紙資料を含む。)によれば、少年は肩書地に本籍を有する「R・I」であつて、一九五六年(昭和三一年)一二月九日生であることが認められる。したがつて、少年につき初等少年院送致の決定をなした昭和四五年九月一六日当時はいまだ一四歳未満の少年であつたこととなるが、都道府県知事または児童相談所長から送致の手続がなかつたにもかかわらず、右決定をなしたことが記録上明らかである。

してみると、右初等少年院送致の決定は少年法第二七条の二第一項にしたがいこれを取消すべく、なお審判開始決定の取消および審判不開始の決定につき少年審判規則第二四条の三、少年法第一九条第一項を各適用し、主文のとおり決定する。

(裁判官 角谷三千夫)

参考一

松少発第五四号

昭和四十六年二月十二日

松山少年院長 安井五郎

松山家庭裁判所長呉屋愛永殿

収容少年の保護処分取消に関する通告について

当院収容中の左記少年について調査の結果、保護処分の取消を相当と疑うに足りる資料を発見したので、少年法第二十七条の二第二項、および少年院処遇規則第七十四条の三の規定に基づき通告します。

氏名      G・J

生年月日    昭和三〇年一二月以下不詳

本籍      不詳

住所      不定

非行名     虞犯

処分決定年月日 昭和四五年九月一六日

収容年月日   昭和四五年九月一八日

段階処遇の現給 昭和四六年一月二五日一階級降下により三級

調査の結果判明した事実

氏名      R・I

生年月日    西暦一九五六年一二月九日

本籍      全羅南道済州道涯月面

生出地     大阪市東成区○○○町○-○○○

住所      大阪市生野区○○○○○丁目○○

保護者の住所、氏名、年齢

大阪市生野区○○○○○丁目○○

父 M・S 三四歳

母 M・S子 三七歳

右事実を証明する資料として別紙大阪市生野区長発当院長宛の回答書写を添付します。

尚本年二月九日両親揃つて来院の上本人と面会し、右の事実を確認していますので申添えます。

R・Iの処分に対する意見書

少年を引続き当院に収容し、矯正教育を施すを相当と考えます。

理由

一 少年の性格、環境に照らして引続き矯正教育を必要とする。

二 少年自身当院において引続き教育を受けることを希望している。

別紙

昭和四六年二月三日

松山少年院長安井五郎

大阪市生野区役所御中

依頼書

自称住所大阪市生野区○○○○○丁目○○番地少年G・JことR・I

昭和三一年一二月九日生

右の者について左記事項調査記入の上至急回答していただきたく御依頼します。

なおこのことについては本人およびその家族等の名誉を保持するため厳秘の取扱をするよう特段の配慮をお願いします。

本人

ふりがな 氏名

R・I

本籍

全羅南道済州道涯月面

出生地

大阪市東成区○○○町○─○○○

住所

大阪市生野区○○○○○丁目○○

生年月日

一九五六年十二月九日

父母との続柄 次男  出生別  嫡 非嫡 不明  男女を通しての出生の順位 第 子

続柄 氏名 生年月日 死亡又は生別の年月日 職業 住所

祖父母兄弟姉妹

右の通り回答いたします。

昭和四十六年二月六日

大阪市生野市長 紀平国幹

松山少年院長 安井五郎殿

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